1.ブランディングの定義
ブランディングの定義の前に、「ブランド」の定義から整理します。
ある特定の商品やサービスが、消費者・顧客によって「識別されている」とき、その商品やサービスを「ブランド」と呼ぶ。(一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会による 消費者・顧客から見た「ブランド」の定義)
この定義から「ブランド」はユーザーが感じる価値だということがわかります。ユーザーが商品や企業に対して特定のイメージを持つことで生まれます。
企業が持たせたいイメージを、実際にユーザーが抱いてくれなければいけません。よって、ブランディングは、企業の伝えたいイメージとユーザーが抱くイメージを一致させるための活動になります。
企業の考えるブランドとユーザーが感じるブランドが一致したときに、ブランディングが成功したと言えます。
2.ブランディングの重要性
価格競争からの脱却
ブランディングを行うと価格競争から脱却を狙うことができます。
類似の商品では、ユーザーは安価な方を求める傾向があります。ブランディングが成功すると、この価格競争から逃れることができます。ユーザーは安いから購入するのではなく、ブランドの価値を求めて購入するからです。
例えばアイスのハーゲンダッツは、高級アイスクリームをコンセプトにしていました。原材料の品質や原産地など、細部までこだわり、他市販アイスに比べ高価格です。
しかし、ユーザーはプチ贅沢や自分へのご褒美として、その価格帯に納得して購入します。
ユーザーロイヤリティーの向上
ロイヤリティーとは英語で「忠誠心」という意味で、ユーザーロイヤリティーとは「ユーザーがある商品やブランドに感じる信頼度や愛着度」を指します。ブランディングを行うことで、ユーザーロイヤリティーが増し、リピート率が向上します。他商品やサービスとの比較を免れて、購入してもらうことができます。
例えば、カレーのルーなどは家庭によって決まったルーを購入します。「うちはバーモンドカレー」というように一般的に同じ商品を買い続ける傾向があります。
認知の拡大
ブランディングが成功すれば、自社の商品やサービスに興味を持つユーザーが増えます。ユーザーから能動的に自社商品を買ってくれれば、広告費用を抑えることもできます。
「〇〇といえば△△」のようにブランドイメージを持ってもらえれば、必要な場面でユーザーに思い出してもらい購入に繋がりやすくなるのです。
「新生活に向けて、たくさん家具を買わなきゃな。ニトリに行こう」のように「安価な家具といえばニトリ」とユーザーが認知していれば、多くの来客を期待できます。
3.実際の流れ
それではブランディングの流れを見ていきましょう。
1. 現状分析
ブランディングの最初のステップは現状分析です。まずは自社、自社の商品やサービスを深く理解しておく必要があります。相手に伝えるためには、まずは自分が理解していないといけません。自社の強みや特徴、他者との差別化できる点などを整理しましょう。
具体的な分析方法は下記記事で紹介しています。
2. ブランドアイデンティティの構築
ブランディングの工程の中で最も重要になるのが「ブランドアイデンティティの構築」になります。
ブランドアイデンティティとは「ユーザーにどのように自社商品をイメージしてもらうか明確にしたもの」です。ブランドのコンセプトを言語化したものと言えます。
ブランドアイデンティティは、ブランドを構成する全ての要素(デザイン、キャッチフレーズ、価格帯など)に一貫性を持たせる必要があります。
ブランディングでは、伝えたいイメージとユーザーのイメージを一致させなければいけません。両者にずれが生じてしまうと、ブランディングは上手く行きません。
ブランドアイデンティティを構築するために、ペルソナの設定やカスタマージャーニーの作成も有効です。ブランドが刺さるユーザーやタイミングを想定することで具体的な案を出せます。
ブランドアイデンティティを構成する要素や細かいステップは下記記事をご覧ください。
3. ブランドアイデンティティの浸透
ブランドアイデンティティが確立したら、これを広く浸透させます。
自社内でブランドアイデンティティの徹底を行います。社員一人一人がブランドアイデンティティを意識して対外活動を行うことで、自社内外での浸透に繋がります。
またデザインもブランドアイデンティティの浸透に非常に役に立ちます。デザインを用いることで、ユーザーに視覚的にブランドを捉えてもらえます。企業のロゴマークだけでなく、商品のパッケージ、ホームページのレイアウトなども重要です。
このようにブランドアイデンティティを浸透させる手法は沢山あります。
4.ブランディングの注意点
最後にブランディングを行う際の注意点を解説します。
長期戦になる
ブランディングは、ユーザーにイメージを持ってもらう活動なので、すぐに効果が出る活動ではありません。また、長期間一貫したイメージを持っていないと、ユーザーに認知のずれを生み出してしまいます。
長期戦になることを想定して、根気強く緻密な浸透を心掛けましょう。
確立したブランドへの対策
既に業界の中で確立されたブランドがある場合、新たに参入することが難しくなります。そういったブランドとは同じポジショニングをとらず、違ったコンセプトでブランドを固める方が良いでしょう。
今回はブランディングについて、定義や重要性、実際の流れを紹介しました。
ブランディングを行うことで、ユーザーに確立されたイメージを持ってもらいましょう。これにより、ユーザーに買う理由をもってもらい、価格競争や競合との比較検討を抜けた展開が可能になります。
ブランディングは長期的な戦略になりますが、成功すれば良い影響をもたらします。根気強く、唯一無二のブランドを築き上げましょう。
それでもお困りの際は、是非当社にお問い合わせください。二人三脚でご相談について考え抜きます。