1.インサイドセールスとは
インサイドセールスとは、電話やメールWeb会議を通じて顧客に行う非対面の営業活動を指します。
従来の営業活動は、1人の営業担当者が顧客の獲得から購入、利用開始後のアフターフォローまで行うケースが多くみられました。
顧客と深い関係を築ける一方で、営業担当者が担う業務量が多く、営業効率の悪化を悩みの種として抱えている企業も少なくありませんでした。
一方インサイドセールスは営業活動を分業し、業務効率化や売上アップにつながると期待されています。
フィールドセールスとの比較
フィールドセールスとは、顧客のところへ直接出向き、対面で商品の提案や商談を行う従来の営業方法を指します。
インサイドセールスとフィールドセールスでは移動効率が異なります。
インサイドセールスでは、電話やメール、Web会議での営業なので移動時間はありません。
反対にフィールドセールスでは直接顧客のところへ出向くので移動時間がかかります。
具体的な数字で見てみると、従来の営業活動の場合1日あたりの対応件数は多くて3件程度でした。 一方インサイドセールスは1日8件程度の対応が可能となりました。
参考:
【徹底図解】インサイドセールスとは?実践方法と受注数3倍の事例も紹介! | LISKUL
需要の背景
インサイドセールスの需要の背景として、主に二つの要因が挙げられます。
1つ目は新型コロナウイルスの感染拡大により、顧客や従業員を守るために対面営業を控える環境になってきていることです。
このことから非対面で営業活動を行うインサイドセールスの需要が高まっています。
2つ目は人口減少です。日本では少子高齢化が加速し、15〜64歳の生産年齢の減少も進んでいます。そのため効率的に営業活動を行うために、インサイドセールスの需要が高まっています。
2.メリット
多数にアプローチできる
フィールドセールスとの比較でも説明したように、インサイドセールスは移動時間が不要なため1日に対応できる商談の数が増えます。
従来であれば移動に費やしていた時間も顧客対応に充てることができます。
遠方の顧客や広い範囲に顧客を抱えている場合はインサイドセールスを導入することで顧客対応にさける時間が増えます。
対応可能案件数が増えるので成約数もアップする可能性があります。
経費の削減
インサイドセールスを活用することで、経費を削減することが可能になります。
営業できる対象地域も全国に増えることで少人数でも成果が上げやすく、移動費がかからないため経費を削減することができます。
業務の属人化を防ぐ
インサイドセールスの導入により、営業活動の業務を標準化させることにより業務の属人化を防ぐことができます。
対面でのフィールドセールスでは顧客との関係を一から作っていくため、個人のスキルやモチベーションなどを重視する、属人的なものでした。
インサイドセールスでは個人の能力差でのばらつきが生じにくく、特定の人ばかりに売上があがるという属人化を防ぐことができます。
売り上げ予測を立てやすい
インサイドセールスのメリットには、売上予測を立てやすいといったものがあります。
活動履歴を記録できるMAツールとフィールドセールスの活動履歴を記録できるSFAを連携させることで、売上予測ができます。
インサイドセールスのデータだけでなく、営業活動全体のデータを分析できるため、半年〜1年先の売上予測を月次で立てることも可能になります。
3.デメリット
商材によっては不向き
商材の特徴によってはインサイドセールスが不向きの場合があります。
例えば、手触りや実際に触ってみないと分からない商材はインサイドセールスでは魅力を伝えきれないでしょう。
またインサイドセールスでは見込み率をあげるために何度も同じ顧客にアプローチをします。移動時間を短縮できるとはいえ、売上とコストが見合わなくなってしまいます。
取り扱う商材がインサイドセールスに適しているか確認しましょう。
経験値とノウハウが必要
インサイドセールスを導入する場合、インサイドセールスの経験やノウハウが必要になります。
フィールドセールスから営業スキルや経験は引き継ぐことができますが、インサイドセールスではツールを使って営業活動をするので新しく覚える必要があります。

4.導入の流れ
人材選定
インサイドセールスの導入を成功させるためには適切な人材選定を行うことです。
個人のスキルを見極めるために適性検査を用いてもよいでしょう。
インサイドセールスに向いている人の特徴として以下が挙げられます。
・電話やメールでのコミュニケーションに長けている
・継続力がある
・情報処理能力がある人
・論理的思考能力がある人
KPI設定
KPIとは重要業績評価指数であり、企業の目標を達成するために必要な指標です。
インサイドセールスを行うにあたり、どのような評価を行うのか基準を決めておく必要があります。
設定するKPIは目的によってさまざまですが、アポイント獲得数や案件化につながった数、電話をかけた数などが代表的です。
シナリオ作成
KPI設定をしたら、シナリオ作成をします。シナリオを作成しておかないと行き当たりばったりの営業になってしまうからです。
電話をかけて最初にどのような話を伝えるのか、相手の反応に合わせた返答の用意をすることによって、誰がインサイドセールスをしても安定した成果を出せる準備をします。
ツールの準備
運用
すべての準備が整ったら実際にインサイドセールスの運用を開始します。定期的に成果を振り返り、達成状況に合わせて目標の見直しやシナリオの改訂も行いましょう。

5.導入のポイント
目的の明確化
まずはなぜインサイドセールスを導入をするのか明確にしましょう。
社内全体でインサイドセールスを導入する目的を共有し、目的を達成するための業務の進め方を確立しましょう。
部署間の連携
インサイドセールスは部署間の連携、綿密なコミュニケーションを欠かさず常に情報を共有することが重要です。こまめな情報共有により現場の状況把握がスムーズになります。
定期的な振り返り
インサイドセールスの営業活動では、定期的に成果を振り返ることが大切です。
これまでの経験から改善する部分を判断し、さらに成果を挙げられるようにしましょう。

本記事ではインサイドセールスとはなにか、導入方法とポイントを紹介しました。
インサイドセールスを活用すると、今までよりも営業対応件数をあげることができるかもしれません。
インサイドセールスで最も重要なことは「綿密なコミュニケーションをとること」です。インサイドセールスでは部署間で情報共有をしながら営業活動をするからです。
そうすることでインサイドセールスを円滑に進めることができます。