CPA(獲得単価)は、1件のコンバージョンを達成するのにかかった費用を表しており、費用対効果を確認するための広告指標です。算出方法は以下の通りです。
「CPA(獲得単価)= 広告費 ÷ CV(コンバージョン数)
= CPC(クリック単価)÷ CVR(コンバージョン率)」
まずは、上の算出方法について解説します。
クリック課金型の広告において、広告費は、1クリック当たりの価格とクリックされた回数によって決まります。
つまり
「広告費 = CPC(クリック単価) × クリック数」で表すことができます。
また、コンバージョン数は「CVR(コンバージョン率) = コンバージョン数 ÷ クリック数」という算出式から
、「コンバージョン数 = CVR(コンバージョン率) × クリック数」と表すことができます。これらを整理すると以下のような式が成り立ちます。
このようにして、
「CPA(獲得単価)= CPC(クリック単価)÷ CVR(コンバージョン率)」という式を導き出すことができます。一般的に、CPAは安価である方が費用対効果が良いということを表しており、望ましいとされています。
しかし、全ての場合があてはまるわけではありません。
例えば、大手通販サイトなど価格の異なる複数の商品を扱っている企業で考えてみます。CPAが¥1,000であるときに¥3,000の商品やサービスを販売できている場合は、自社に¥2,000ほどの利益がありますが、CPAが¥800であるときに¥300の商品やサービスを販売している場合は、CPAは安価ではありますが、自社に利益はなく、むしろ損失が発生しています。
このように、CPAの数値を単独で分析するのではなく、他の要素を考慮して分析に用いる必要があります。
また、CPC(クリック単価)とCVR(コンバージョン率)に着目すると、次のような分析ができます。
CVRが上がっている場合は、広告がユーザーに対して効果的に届いていることを表しており、反対に下がっている場合は、広告を配信するターゲティングに課題があることが原因の1つとして考えられます。本来訪れてほしいユーザー以外も多くサイトに訪れている可能性があるため、除外キーワードの設定や広告と検索キーワードの関連性を高めるなどの施策が必要になります。
そして、CVRが高く、CPCが抑えられている場合は、競合が少ないが自社ターゲットのニーズに合っていると考えられます。
一方で、CVRとCPCがともに高くなっている場合は、自社ターゲットのニーズを捉えて配信はできているものの、競合も同様のターゲットに対して配信をおこなっており、競争率が高い可能性があります。
成果目標に合っていないCPCの高いキーワードの配信を停止したり、競合の少ないキーワード設定し配信のターゲティングを変更したりすることで、クリック単価を抑えることができます。
CPA(獲得単価)を抑える方法
・CPC(クリック単価)を下げる
入札単価を下げることでCPC(クリック単価)を下げることができます。詳しくは、4.CPCの「CPC(クリック単価)を下げる方法」を参照してください。
・CVR(コンバージョン率)を高める
CVR(コンバージョン率)を高めることでもCPA(獲得単価)は抑えることができます。CVR(コンバージョン率)を高めるためにもっとも効果的な方法は、商品やその値段を変えたり、LP(ランディングページ)を改善したりすることですが、広告内でできることとしては、ターゲティングを見直し、コンバージョンに結びつきそうなユーザーへ広告を表示することが挙げられます。これにより、CVR(コンバージョン率)を高めることにつながります。
CPO(顧客獲得費用)は、顧客が商品やサービスを購入し、それを受注した時にかかった1件あたりの広告費を表しています。これも広告の費用対効果を確かめるための広告指標です。算出方法は、以下の通りです。
「CPO(顧客獲得費用)= 広告費 ÷ 受注件数」
CPO(顧客獲得費用)が安価であるほど、効率的に受注ができていることを表すため、費用対効果が高いといえます。CPA(獲得単価)と同じで、1件あたりの広告費用を表しているのですが、それが受注件数1件あたりの広告費であるか、コンバージョン1件あたりの広告費であるかという違いがあります。
特に現代では、サンプルや資料を無料で配布して、そこから本商品の購入につなげるツーステップ方式を採用している企業も多いので、CPO(顧客獲得費用)の指標にも目を向けなければ、企業にとってどのくらいの利益があるのかを確かめることができません。
何をコンバージョンの達成と位置付けているかによって、うまく使い分ける必要があります。
ROAS(広告の費用対効果)は、広告費に対して得られた売り上げの割合を表した広告指標です。広告費の何%の売り上げを上げることができたのか表しており、算出方法は以下の通りです。
「ROAS(広告の費用対効果)(%)=(売上 ÷ 広告費)× 100」
ROASは高いほど、広告によって得た売り上げが多いことを表していますが、1つ注意するべき点は、その広告が売上を上げていても、利益を生み出しているのかが分からないという点です。
売上が上がっていても、それに比例して広告費用がかさんでいれば、利益は生まれないからです。そのため、利益の有無を確かめるためには、次で説明するROIが用いられることが多いです。